2010年04月29日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-17

この「ちょっとだけメイキング」。
いつの間にか「しっかりメイキング」になり、
しかも気がつけば、20回が見えてきてしまいました。

記憶も薄れかけている今日この頃なので、
19回か20回でひと区切りを目指したいと思います。

ということで、今回は「ロゴ」のページについてです。


この本、それぞれの書体を使ったロゴづくりのノウハウも掲載しているのですが、
これが、なかなか難しかったのです、、、

まずは「ロゴ」というもの自体、僕自身も思い入れがありますので、
「コンセプトが込められていないものは、ロゴではない」くらいの思いが
ひそかにあります。

ですので、ロゴのサンプルをつくることに、早々に行き詰まります、、、

というのは、ある言葉をロゴとして表現しようとすると、
目の前にある「Garamond」や「Helvetica」ではなく、
他の書体のほうが、ふさわしいのではないかと考えてしまいました。
さらに、その言葉には「コンセプト」がないのです。

通常のロゴの仕事であれば、クライアントの考えや、
未来像など表現しなくてはいけないコンセプトが必ずあります。

しかし、この本はそういった「コンセプト」を表現するものではなく、
それぞれの書体の特色や、使い方のコツを知ってもらい、
書体の新たな魅力を感じてもらうことを目標としている本です。
ロゴについて言えば、あくまで「テクニック」を知ってもらうものです。

と、頭の中では理解できても、
実際のデザインがまったくできない状況に陥ってしまいました。
そこで、編集者Yさんに相談。

最終的にYさんが考えてくれたのが、
「それぞれの書体が生まれた国を象徴する単語にしてみませんか?」
ということでした。

フランスの書体には、トリコロールやアモーレ(愛)
イギリスの書体には、ガーデンやティー(お茶)
イタリアの書体には、パスタ。
アメリカの書体には、カウボーイやハリウッド などなど


あぁ〜なるほど!
それなら、目の前の書体との関連性も確実にあり、
なんとかなりそうだ!ということになりました。

そんな流れから、ロゴページに掲載している単語は、
Yさん考案のそれぞれの国に関連性のある言葉がチョイスされています。

posted by Happy and Happy at 23:04| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月24日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-16

今日は少し印刷の話を。
題して「全ページ、カラーでお願いします」です。

文字の本って、どうしても「地味」になってしまうんです、、、
もともと「派手な世界ではない」というのがあるのですが、
文字に関する書籍というのは、
1色印刷や2色印刷になっている場合が多く、
より地味に見えてしまうということを、いつも残念に思っていました。

まぁ、文字自体、黒いものなので「必要最低限の色数で。」と
いう考え方もわかりますし、コストの問題も大きく出てしまうため、
実際の本づくりの現場では、そうならざるをえない現状も
とても良くわかります。


しかし、僕の場合は、やはり多彩な美しい色で刷られている、
カラーの印刷が好きなんです。


これは個人的な考えなのですが、
4色使える状況で、多くの色を使う必要がないから、
1色もしくは2色しか使わなかったという場合は、
デザインとして「最高の状態」にあると思うのですが、
はじめから、1〜2色しか使えないという場合は
「最高の状態」とは言えない場合が出てしまうと感じています。

また、文字というものは、
突き詰めていくと「黒1色」が、究極の色だと思います。
ですが、そこにあえて様々な色を加えることで、
また違った魅力や、新たな可能性を発見できるように思うのです。

そんなわけで、この本の企画が進行する際に、
まず「全ページ、カラーで印刷したいなぁ」という希望がありました。


でも、それにはまず乗り越えなくてはいけない壁があります。
そう、編集者さんです。

以前、この本の担当編集者Yさんとご一緒した仕事で、
本の全ページに、メタリックカラーを印刷して(しかも数種類・・・)、
さらに特色も数種類刷りたいなどと、無謀な要望の数々をお願いしたことがあるため、
今回は「もうあまり無理できないなぁ、大人な感じでやんわり話してみようかな」と
いろいろ考えていました。

最終的には、4色印刷にしたいという熱い思いを語って、
なんとか全ページカラーにしてもらおう!と直球勝負で打ち合わせに挑みました。


で、編集者Yさんに「全部、カラーで行きたいんですよね〜」と、まずは軽くジャブを。


すると・・・


「あっ、いいですよー」とOKがっ。

あれっ、いいんですか? 
全ページ、カラーで???
熱い思いとかオレ語らなくても大丈夫? 
あれっ???


ということで、気持ちよくOKを頂きました。
Yさんとしても、この本には、
オールカラーがいいと思っていてくださったようで、
良かったぁ〜〜〜。


その後コストのことなど、いろいろ奮闘してくださり、
文字の本にしてはめずらしく、
全ページオールカラーの書籍へと突き進んでいくのでした。

posted by Happy and Happy at 00:00| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月17日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-15

さて、今回は「混植書体はどうしよう?」です。

日本語書体は決まったけれど、文字組の中に一緒に使う、
欧文や数字書体に悩み始めます。

というのは、この「本明朝Book」という書体は、
混植用につくられた専用の欧文書体がすでに揃っているからなんです。
それがこちら↓

00012234.jpg

どれも、本明朝とのバランスを考えてつくられているため、
混植で使用すると、非常に整った雰囲気が出ます。

しかし、どうも自分の求めている雰囲気にしっくりこない、、、という問題が。

通常の仕事で使う場合には、この書体の場合、専用の欧文を使ったほうが
文字の「黒み(太さ)」も揃って、確かに美しい文字組になります。
ただ、今回は欧文書体の本ということで、もともと別々の書体だったものが、
完璧なまでにきちんと揃いすぎているということが、
どうしてもしっくりきませんでした。

そのため、この本に限っては、欧文は「本明朝」に頼らず、
他の組み合わせにしようと決めました。

最終的に、最もスタンダードともいうべき「Adobe Garamond」を105%に拡大して、
組み合わせたのが、現在の本文組です。

00012235.jpg

(↑「Adobe Garamond(105%)」と「Ro Garamond-Book」。
「Ro Garamond-Book」のほうが、小文字の天地が高く、
はっきりとした印象になっています。)


書籍の組版を見ていただくと、日本語に比べて、
欧文の「黒み」が若干強くなっていますが、
これも意図した味わいだと感じて頂けたらうれしいです。

posted by Happy and Happy at 12:43| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月15日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-14

今回は「日本語書体はどうしよう?」です。

本をつくるにあたって、日本語の書体に何を使うかということも、
けっこう悩みました。

クラシカルな欧文書体をまとめている本なので、
やはりどことなくクラシカル感は欲しい。
だけど、あまり重い印象になってしまうのも避けたい。

ということで、3つの書体をセレクト。
●游明朝体 + 五号かな
●A1明朝
●本明朝Book新がな

まずは「游明朝体 + 五号かな」。
ご存知の方も多い、字游工房さんの書体です。
「游明朝体」に、築地系と呼ばれるやわらかな「五号かな」を
組み合わせる案。

そして、モリサワの「A1明朝」。
僕が広告会社に勤めはじめた頃は、写植からMacへ移行するちょうど中間点でした。
当時、写植で明朝体といえば、漢字を「石井中明朝体MM-OKL」、
かなに「A1明朝」を使い、さらにそれを「紙焼き」という機械を使って、
「エッジをやわらかく太らせて使う」というのが主流でした。
そんな思い出もあり、この書体をセレクト。

最後に、リョービの「本明朝Book新がな」。
ここ数年、気にいって使っています。
書体名に「Book」と付いている通り、
書籍本文のために開発された「本明朝」の現代版ともいうべき書体です。
かなが、4種類付属されているのが特徴で、
まずは通常の「かな」、少し小ぶりの「小がな」、
築地系のやわらかな「新がな」、それを小ぶりにした「新小がな」。
その中から、「新がな」をチョイス。


それぞれ、一長一短で、非常に悩みました。
「游明朝体 + 五号かな」は、すっきりとした現代的な印象で美しい。
「A1明朝」は、書体としての味がある。
「本明朝Book新がな」は、クラシカルな感じと現代的な雰囲気を併せ持つ。


いろいろ考えた結果、今回の本の内容を一番的確に表現してくれ、
なおかつデザイン的に、文章がスッーとラインのように見え、
文字も余白も共に映える書体は「本明朝Book新がな」だという結論に達し、
この書体をセレクトしました。

しかし、ここからまだ悩みは続きます、、、

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posted by Happy and Happy at 09:39| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月13日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-13

4月の頭に再びMacが壊れ、HDを入れ替えましたー。
おかげで今は快調になり、これで一安心です。

さて、ひさびさですが、メイキングです。

この書類の山、なんだと思いますか?

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厚さ、45mmほどの山。

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実はこれ、すべてのページデザインができあがった際につくった、
簡易製本なんです。
それぞれのページを両面テープで止めて、176ページを製本してあります。

通常の本の仕事の場合は、単純にペラの出力紙で確認をしていくのですが、
今回の本は、ページをめくって読み進める際に、できるだけ見やすく、
そして、違和感(ひっかかり)を感じさせない本にしたいと考えていました。


ご存知の方も多いかもしれませんが、
書体には大きく分けて、「本文書体」と「見出し書体」があります。

「本文書体」は、その名の通り、書籍などの本文を組むためにつくられたもので、
読む人のことを考えて、見やすさや読みやすさを重視して、
様々な工夫がされています。
それに対し「見出し書体」は、タイトルなど、短いテキストに使うためのものなので、
読みやすさよりも、書体としての面白さや、ある種のクセがつけられています。


今回の本は、そんな書体たちを紹介していますので、
本全体を通して、まずは「本文書体」のコンセプトである
「見やすさや読みやすさ」を感じてもらえる本にしたいなとの思いがありました。
しかし、それだけでは少し単調になってしまいますので、
「見出し書体」のような、デザイン的なクセづけも入れてあります。

その二つをうまく調和させ、最後まで「スッー」と読めることを目指し、
簡易製本をして、実際にページをめくりながら、細かな調整をしていきました。

最終的に、このような作業を二度行い、
ようやく入稿へと進んでいくことになりました。

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posted by Happy and Happy at 14:11| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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