2010年05月29日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-最終回

「あの黄色の本とよばれたい」。

Yさんから言われた言葉から、
再度、カバーのデザインを組み立て直していきました。

そして、できたのが↓これ。


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当初は、それぞれの書体名を小さく入れ、
文字には特殊加工をしようと考えていました。
また、宣伝の言葉をいれるための「帯」もつける予定でした。
けっこう、まじめな表情です。


↓帯をはずすと、書体名がエンボスになる構想でした。


526.jpg


この方向で基本的なOKが取れ、
さらにもう一工夫してみようとの話になり、
試行錯誤をつづけます。

そして、悩んで悩んで悩んだ結果、
装飾的な要素をすべて捨てることに決めました。
帯なし。宣伝コピーなし。英文の文字もなし。

「タイトル、色、図形」。
この最低限の要素のみで構成することを決め、
現在のシンプルなカバーデザインがうまれました。


やわらかなクリームイエローは、
ヨーロッパのクラシカルで洒落たイメージをモチーフにしています。
そして、タイトルはあえて、左下に配置することで、
「文字」にとって大切な「余白」をより際立たせるようにしました。
小さな2つの丸は、「過去の優れた書体と、これからのデザインをつなげたい」
という思いを込めています。

ちなみに、この本のカバーは、全て「特色」を使っています。
通常の印刷だと色が少し濁ってしまうため、
発色の美しさや、透明感に限界があります。

そのため、今回は「特色のインク」を使って印刷してもらうことで、
通常のカラー印刷では出せない、美しい色にしていただきました。
直径1ミリ程度の小さな丸い図形にまで、それぞれ特色を使うという
なんとも贅沢な印刷になっています。


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デザイナーになって、17年。
ようやくできあがった一冊です。

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2010年05月24日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-19

最終回に向けて、カバー(表紙)の話を。


0023.jpg


このカバーデザイン、簡単に仕上がりそうですね〜。

ですが、この案にたどり着くまで、実際は一年がかりになりました。
その間、ラフをつくっては見直し、ラフをつくっては見直し、
という作業をコツコツと繰り返しました。

デザイナーですから、
やはりカバーデザインには、ものすごく力が入ります。
腕の見せどころみたいな感じです。

そんな気合いもあいまって、当初はもっと「デザイン的」なものを考えていました。
そして、当然ながら「欧文書体の本」ということがわかるような
カバーデザインにしていました。

しかし、類書との差別化など、いろいろと考えるところもあり、
カバーの方向性をしばらく探る日々が続きます。



そんな中、ある日の編集者Yさんとの打ち合わせで、
「カバーの色は何色にしようか」という話になりました。

僕としては書体の本ということで、
「文字が一番映える『白地』がいいのでは?」
と考えていました。

しかし、Yさんからは「黄色がいいのでは?」との提案が。
「えっっっ? 黄色?!」

実は、その数日前に一緒に仕事をしているJさんに、
カバーの色について相談すると「黄色がいいんじゃない?」
と言われていたんです。
その時点では、「え〜〜〜黄色はないんじゃない? Yさんも黄色は選ばないでしょ〜」
と話していた矢先でした。

こんな風に、別々に聞いた二人の意見がぴったり合っていることにびっくりしました。
そして、あまりにも自分の予想外の色のセレクトに、腰砕けになりなつつも、
今回の本は「黄色」になるんだなぁと感じた瞬間でした。

まぁ、そうはいっても、すぐには納得できない性格ですので、
ここでも「黄色でいこう」と思えるまでには、
しばらく時間がかかるわけですが。。

(つづく)



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2010年05月06日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-18

「紙の色にも一年」。


僕は基本的に物事をスパッと潔く決めることができません。
「悩んで、迷って、考えて」を何度か繰り返して、
もう心身ともにフラフラになって物事を決めていきます。

今回、制作期間が長かったこともあり、この「悩んで、迷って、考えて」を
エンドレスで繰り返していくことになりました。

そんな中、最も長く悩んだのが「本文用紙の色」です。
まぁ、できあがってみると、そんなに悩まなくても、、、と思うのですが。。


今回、この本がはじまる際に、ひとつ自分に課していたことがあります。
それは「人の意見を聞こう」です。

これだけ聞くと、なんて立派で謙虚な人だろうと感心してしまいます。

でも、実際は大きく違うんです。
数年前にやった編集者Yさんとの仕事で、
力が入りすぎて「暴走した」という過去があるためなんです、、、


しかし、そんなステキな心がまえも、早々につまづくことになります、、、


ある打ち合わせで、本文用紙に何を使おうかという話になりました。
すると、Yさんが言います。
「クラシカルな書体の本なので、本文用紙も真新しい白いものじゃなく、
クリーム色のものを使いませんか?」と。

今、こうして文章を書いていると
「あぁ、なるほど!それでいきましょう!すばらしいアイデアだ!」と
膝を打って絶賛したくなりますが、
この話を聞いた時点の僕の反応は
「え〜〜〜クリーム色ですか? う〜〜〜ん、、、」でした。

というのは、ここ数年、用紙の色といえば、
白が映えることを意識して、
「ホワイト」もしくは「スノーホワイト」を選択していました。
そのため自分の中に「クリーム色」という選択肢はないわけです。

また、今回の本は「クラシカルな書体を紹介しつつも古典的になりすぎず、
『現代的な雰囲気』をあわせ持った本にしたい」との思いがあります。

そのため、用紙の色は、やはり現代的な「白」がいい。
しかし「人の意見を聞こう」と自分自身に課してしまっているわけです、、、
そんなわけで『葛藤の一年』が幕を開けます。


まずは「少し考えてみます」と持ち帰り、しばらく悩みました。
悩んだ結果、「うん、人の意見にのってみよう」との結論に達し、
「クリーム色でいきます」と返事をしました。

我ながら、すばらしい心がけです。
潔すぎてびっくりです。



まぁ普通だったら、これで話は終わるわけです。


しかし、その後、ずっと悩み続けます。
「本当にクリーム色でいいのか? 今ならまだ変更がきくぞ」
「自分は妥協してるのかもしれない? やはり自分の意見を通すべきじゃないか」
「できあがった時に、気にいらなかったら取り返しがつかないぞ」
などなど、もう頭の中、いろいろ巡っちゃうわけです。

たかが、紙の色ですが、全体のイメージを大きく左右するものなので、
やはり、選ぶ時にはものすごく慎重になるわけなんです。

Yさんからも、そんな僕の状況を見るにみかねて
「まだ紙色変えられますから」と、やさしい声をかけて頂きながら、
1年が過ぎた頃、ようやく心が決まります。
「クリーム色がいい」。


本を開くと、やわらかなクリーム色の用紙が使われている背景には、
実は過去の失敗と、そんな長い長い葛藤があったのでした。
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2010年04月29日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-17

この「ちょっとだけメイキング」。
いつの間にか「しっかりメイキング」になり、
しかも気がつけば、20回が見えてきてしまいました。

記憶も薄れかけている今日この頃なので、
19回か20回でひと区切りを目指したいと思います。

ということで、今回は「ロゴ」のページについてです。


この本、それぞれの書体を使ったロゴづくりのノウハウも掲載しているのですが、
これが、なかなか難しかったのです、、、

まずは「ロゴ」というもの自体、僕自身も思い入れがありますので、
「コンセプトが込められていないものは、ロゴではない」くらいの思いが
ひそかにあります。

ですので、ロゴのサンプルをつくることに、早々に行き詰まります、、、

というのは、ある言葉をロゴとして表現しようとすると、
目の前にある「Garamond」や「Helvetica」ではなく、
他の書体のほうが、ふさわしいのではないかと考えてしまいました。
さらに、その言葉には「コンセプト」がないのです。

通常のロゴの仕事であれば、クライアントの考えや、
未来像など表現しなくてはいけないコンセプトが必ずあります。

しかし、この本はそういった「コンセプト」を表現するものではなく、
それぞれの書体の特色や、使い方のコツを知ってもらい、
書体の新たな魅力を感じてもらうことを目標としている本です。
ロゴについて言えば、あくまで「テクニック」を知ってもらうものです。

と、頭の中では理解できても、
実際のデザインがまったくできない状況に陥ってしまいました。
そこで、編集者Yさんに相談。

最終的にYさんが考えてくれたのが、
「それぞれの書体が生まれた国を象徴する単語にしてみませんか?」
ということでした。

フランスの書体には、トリコロールやアモーレ(愛)
イギリスの書体には、ガーデンやティー(お茶)
イタリアの書体には、パスタ。
アメリカの書体には、カウボーイやハリウッド などなど


あぁ〜なるほど!
それなら、目の前の書体との関連性も確実にあり、
なんとかなりそうだ!ということになりました。

そんな流れから、ロゴページに掲載している単語は、
Yさん考案のそれぞれの国に関連性のある言葉がチョイスされています。

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2010年04月24日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-16

今日は少し印刷の話を。
題して「全ページ、カラーでお願いします」です。

文字の本って、どうしても「地味」になってしまうんです、、、
もともと「派手な世界ではない」というのがあるのですが、
文字に関する書籍というのは、
1色印刷や2色印刷になっている場合が多く、
より地味に見えてしまうということを、いつも残念に思っていました。

まぁ、文字自体、黒いものなので「必要最低限の色数で。」と
いう考え方もわかりますし、コストの問題も大きく出てしまうため、
実際の本づくりの現場では、そうならざるをえない現状も
とても良くわかります。


しかし、僕の場合は、やはり多彩な美しい色で刷られている、
カラーの印刷が好きなんです。


これは個人的な考えなのですが、
4色使える状況で、多くの色を使う必要がないから、
1色もしくは2色しか使わなかったという場合は、
デザインとして「最高の状態」にあると思うのですが、
はじめから、1〜2色しか使えないという場合は
「最高の状態」とは言えない場合が出てしまうと感じています。

また、文字というものは、
突き詰めていくと「黒1色」が、究極の色だと思います。
ですが、そこにあえて様々な色を加えることで、
また違った魅力や、新たな可能性を発見できるように思うのです。

そんなわけで、この本の企画が進行する際に、
まず「全ページ、カラーで印刷したいなぁ」という希望がありました。


でも、それにはまず乗り越えなくてはいけない壁があります。
そう、編集者さんです。

以前、この本の担当編集者Yさんとご一緒した仕事で、
本の全ページに、メタリックカラーを印刷して(しかも数種類・・・)、
さらに特色も数種類刷りたいなどと、無謀な要望の数々をお願いしたことがあるため、
今回は「もうあまり無理できないなぁ、大人な感じでやんわり話してみようかな」と
いろいろ考えていました。

最終的には、4色印刷にしたいという熱い思いを語って、
なんとか全ページカラーにしてもらおう!と直球勝負で打ち合わせに挑みました。


で、編集者Yさんに「全部、カラーで行きたいんですよね〜」と、まずは軽くジャブを。


すると・・・


「あっ、いいですよー」とOKがっ。

あれっ、いいんですか? 
全ページ、カラーで???
熱い思いとかオレ語らなくても大丈夫? 
あれっ???


ということで、気持ちよくOKを頂きました。
Yさんとしても、この本には、
オールカラーがいいと思っていてくださったようで、
良かったぁ〜〜〜。


その後コストのことなど、いろいろ奮闘してくださり、
文字の本にしてはめずらしく、
全ページオールカラーの書籍へと突き進んでいくのでした。

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2010年04月17日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-15

さて、今回は「混植書体はどうしよう?」です。

日本語書体は決まったけれど、文字組の中に一緒に使う、
欧文や数字書体に悩み始めます。

というのは、この「本明朝Book」という書体は、
混植用につくられた専用の欧文書体がすでに揃っているからなんです。
それがこちら↓

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どれも、本明朝とのバランスを考えてつくられているため、
混植で使用すると、非常に整った雰囲気が出ます。

しかし、どうも自分の求めている雰囲気にしっくりこない、、、という問題が。

通常の仕事で使う場合には、この書体の場合、専用の欧文を使ったほうが
文字の「黒み(太さ)」も揃って、確かに美しい文字組になります。
ただ、今回は欧文書体の本ということで、もともと別々の書体だったものが、
完璧なまでにきちんと揃いすぎているということが、
どうしてもしっくりきませんでした。

そのため、この本に限っては、欧文は「本明朝」に頼らず、
他の組み合わせにしようと決めました。

最終的に、最もスタンダードともいうべき「Adobe Garamond」を105%に拡大して、
組み合わせたのが、現在の本文組です。

00012235.jpg

(↑「Adobe Garamond(105%)」と「Ro Garamond-Book」。
「Ro Garamond-Book」のほうが、小文字の天地が高く、
はっきりとした印象になっています。)


書籍の組版を見ていただくと、日本語に比べて、
欧文の「黒み」が若干強くなっていますが、
これも意図した味わいだと感じて頂けたらうれしいです。

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2010年04月15日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-14

今回は「日本語書体はどうしよう?」です。

本をつくるにあたって、日本語の書体に何を使うかということも、
けっこう悩みました。

クラシカルな欧文書体をまとめている本なので、
やはりどことなくクラシカル感は欲しい。
だけど、あまり重い印象になってしまうのも避けたい。

ということで、3つの書体をセレクト。
●游明朝体 + 五号かな
●A1明朝
●本明朝Book新がな

まずは「游明朝体 + 五号かな」。
ご存知の方も多い、字游工房さんの書体です。
「游明朝体」に、築地系と呼ばれるやわらかな「五号かな」を
組み合わせる案。

そして、モリサワの「A1明朝」。
僕が広告会社に勤めはじめた頃は、写植からMacへ移行するちょうど中間点でした。
当時、写植で明朝体といえば、漢字を「石井中明朝体MM-OKL」、
かなに「A1明朝」を使い、さらにそれを「紙焼き」という機械を使って、
「エッジをやわらかく太らせて使う」というのが主流でした。
そんな思い出もあり、この書体をセレクト。

最後に、リョービの「本明朝Book新がな」。
ここ数年、気にいって使っています。
書体名に「Book」と付いている通り、
書籍本文のために開発された「本明朝」の現代版ともいうべき書体です。
かなが、4種類付属されているのが特徴で、
まずは通常の「かな」、少し小ぶりの「小がな」、
築地系のやわらかな「新がな」、それを小ぶりにした「新小がな」。
その中から、「新がな」をチョイス。


それぞれ、一長一短で、非常に悩みました。
「游明朝体 + 五号かな」は、すっきりとした現代的な印象で美しい。
「A1明朝」は、書体としての味がある。
「本明朝Book新がな」は、クラシカルな感じと現代的な雰囲気を併せ持つ。


いろいろ考えた結果、今回の本の内容を一番的確に表現してくれ、
なおかつデザイン的に、文章がスッーとラインのように見え、
文字も余白も共に映える書体は「本明朝Book新がな」だという結論に達し、
この書体をセレクトしました。

しかし、ここからまだ悩みは続きます、、、

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2010年04月13日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-13

4月の頭に再びMacが壊れ、HDを入れ替えましたー。
おかげで今は快調になり、これで一安心です。

さて、ひさびさですが、メイキングです。

この書類の山、なんだと思いますか?

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厚さ、45mmほどの山。

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実はこれ、すべてのページデザインができあがった際につくった、
簡易製本なんです。
それぞれのページを両面テープで止めて、176ページを製本してあります。

通常の本の仕事の場合は、単純にペラの出力紙で確認をしていくのですが、
今回の本は、ページをめくって読み進める際に、できるだけ見やすく、
そして、違和感(ひっかかり)を感じさせない本にしたいと考えていました。


ご存知の方も多いかもしれませんが、
書体には大きく分けて、「本文書体」と「見出し書体」があります。

「本文書体」は、その名の通り、書籍などの本文を組むためにつくられたもので、
読む人のことを考えて、見やすさや読みやすさを重視して、
様々な工夫がされています。
それに対し「見出し書体」は、タイトルなど、短いテキストに使うためのものなので、
読みやすさよりも、書体としての面白さや、ある種のクセがつけられています。


今回の本は、そんな書体たちを紹介していますので、
本全体を通して、まずは「本文書体」のコンセプトである
「見やすさや読みやすさ」を感じてもらえる本にしたいなとの思いがありました。
しかし、それだけでは少し単調になってしまいますので、
「見出し書体」のような、デザイン的なクセづけも入れてあります。

その二つをうまく調和させ、最後まで「スッー」と読めることを目指し、
簡易製本をして、実際にページをめくりながら、細かな調整をしていきました。

最終的に、このような作業を二度行い、
ようやく入稿へと進んでいくことになりました。

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2010年03月27日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-12

先週末、突然Macが壊れて、
あんなデータや、こんなデータの数々と
強制的にお別れをすることになりました。

改めて、バックアップの大切さを痛感して、
1TBの外付けHDを取り付けた今週末です。

ということで、また久しぶりのブログ更新ですが、
今回は「書体見本」のページについて説明していきます。


↓こんなページのデザインになっています。

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↓ちょっとアップにしてみます。

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通常、書体見本といえば、黒1色で印字する場合が多いのですが、
今回の本は、文字のいくつかに赤い色をつけています。

これは、「赤い色のついた文字が、この書体の特徴的な文字」ということが
一目でわかるようにしています。

これまでの書体関連の本だと、各書体の特徴をまるで間違え探しのように、
何度も何度も見比べて、他の書体との違いを自分で見つけて、
記憶していくしかありませんでした。

でも、自分の好きな書体については記憶ができても、
そうでない書体については、専門家でない限りは、
なかなか難しいと思うんです。

ある時、仕事を一緒にしたカメラマンの方がこう言いました。
「書体って、明朝かゴシックかぐらいなら、わかるけれど、
それ意外はどれも同じにみえるんですよねー」。

僕は「あぁ、そうだよなー」と思いました。
書体に詳しくない人たちにとっては、
「Garamond」も「Caslon」も「Bodoni」でさえ、
同じに見えるんです。

こういう、何気ない会話がきっかけとなり、
この本を制作するときに、この「赤い文字」を思いつきました。

書体にあまり詳しくない方でも、目で見てすぐわかる。
そして、書体の魅力を手軽に知ってもらえる。

そんな本を目指した結果が、この赤い色に込められています。

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2010年03月14日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-11

あっという間に1週間たってしまいました。
しかも前回、中途半端な感じで終わっていたのに、
すみません。

ちょっと読みづらいかと思いますが、
そのまま続きです。



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ページ左下には、各書体のファミリーの種類を記載しているのですが、
ひとつだけ、黒い文字にしてあります。
これは、「数あるファミリーの中で、この太さの文字を選んでいます。」
という印です。
この選んだ文字を、次のページの「書体見本」や「組見本」
「ロゴアレンジ」「アートワーク」へと使用しています。



実はファミリーの中で、どの太さをチョイスするかということも、
頭を悩ませました。
制作当初は、本としての見た目の変化を考え、細い書体や太い書体など、
それぞれの書体ごとに、選ぶ太さを変えようと考えていました。

しかし、それだと見た目の面白さは出ても、
「なぜ、この書体で、その太さを選択しているのか?」という根本的なところが、
満たせていませんでした。



そこで目をつけたのが、
それぞれの書体が開発された時に「基本となった太さ」でした。
通常、セリフ書体であれば「Roman」。
サンセリフ書体であれば「Regular」。
といったものにあたります。

しかし、中には「Futura」のように、
開発時に、細めの「Light」、標準的な「Medium」、太めの「Bold」の
3つのファミリーが同時に進行されたものもあります。

こういうふうに、数ファミリーが同時進行したケースもあり、
いろいろ悩みました。

そして、最終的には、
「その書体の開発時に、最も中心的な位置にあったもの」を選択することに決めました。

そのため、「Futura」では「Medium」をピックアップ。


他にも、「Gill Sans」なら「Regular」。

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「Times New Roman」も「Regular」。 という選択になっています。

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ここで本をお持ちの方なら、「あれっ?」と思われる書体がひとつあります。
それは「Helvetica」。

多くの書体は「Regular」を中心として、開発されていくわけですが、
「Helvetica」は違いました。
この書体は、まず「Bold」から開発され、
それを元に「Regular」の制作へと移ります。

という訳で、「Helvetica」は「Bold」を選択しています。

それと、「Helvetica」は「Bold」が有名で良く使われますが、
細身の「Ultra Light」は、同じ「Helvetica」でも、印象が大きく異なります。
このひとつの書体の中にある、ファミリー」というものの多彩さや、面白さを
お伝えできたらと思い、この書体は「Ultra Light Italic」も掲載させて頂きました。

「ファミリー」というものの面白さを感じて頂けたら、うれしいです。

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2010年03月07日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-10

今日は本の中身について、少し説明したいと思います。
今回の本では各書体の特色を、出来るだけ簡単に、
そしてわかりやすくシンプルにお見せしたいと考えました。

そのため、↓こんなレイアウトに辿り着きました。

1-06.jpg


少し拡大してみます。


futura001.jpg


書体名のところには、ベースラインとキャップライン、ミーンラインの
3本のラインを点線で引いています。
こうすることで、その書体が他の書体と比べて、
どの位の文字の大きさなのかや、小文字の高さを簡単に比較できるようにしてあります。
一見、何の変哲もない線ですが、実はそんな意図をこめたラインになっています。


次は右ページの拡大です。


futura002.jpg


各書体が、どこの国の書体なのかということも、
欧文書体に詳しくないと、意外とこんがらがってしまいやすいものです。
そのため、各国の国旗を用いて一目でわかるようにしてあります。

あとは書体名の読み方。
日本語の読み方には、いくつかの読み方が浸透しているため、
代表的な読み方を掲載してあります。

少し長くなりましたので、つづきはまた次回に。

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2010年03月06日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-9

いやぁー、“ちょっとだけ”のつもりで始めた、このブログのメイキングですが、
いつの間にか「しっかりメイキング」になってきてしまいました。。

ということで、今日は“ちょっとだけ”に。。


文字というものは、ついつい黒い文字の部分ばかりに目が行ってしまいがちですが、
実は「白い余白の部分」がとても重要なんです。

書道では「余白の芸術」といわれるほど、
白い部分が重要な意味を持っています。

そんな文字の芸術的な美しさや魅力を感じていただきたくて、
今回の本は、ゆったりとした余白を生かしたデザインにしています。

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2010年03月05日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-8

「関係者の皆さん、ご迷惑をおかけしました、、、」(後編)です。

銀や金の箔には、鏡のようにピカピカと反射するタイプと、
マットと言われる少しテカりを押さえたタイプのものがあるんです。

「せっかく校正を取るなら、いろいろ見てみたいな〜」なんて、
欲張りな気持ちを起こしまして、、、


ということで、
やりました! いやいや、やってもらっちゃいましたー。。
マットの銀箔!!

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いや〜、このくらいで終わっていれば、まだかわいいもんなんですが、
さらに僕はやっちまいます、、、




「マットの金箔も見てみたいな〜」なんて、欲張りな僕がいるわけで、
マットの金箔ですっ!!

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いやいや、ここまで来たら、もうやります。やりきりますよー。
マットの金箔『色違い』バージョン!!


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校正が上がった時には、もう感激です!
どれも素晴らしい仕上りで、大喜び!!
ひとつひとつ検証して、どれで行こうか編集者Yさんと検討です。

最終的に、光沢のある銀の箔と、金の箔が決勝戦に!
「う〜ん、どっちも良いなぁ、悩むなぁ」なんて考えていると、
Yさんが本屋で置かれている状況を想定して、
少し遠目に並べてくれました。

するとYさん「見えない、、、タイトルが見えませんね、、、」と。
えっ!?「ひ、光の加減じゃないですか? 反射するから」と僕。

Yさんの位置に立って見ると「確かに見えない、、、」。



でもね、ここで簡単にあきらめるわけにいかないわけですよ〜。

で、僕は、いろいろな場所に置いて確認していくわけです。
もうあがきましたよ。どっか見えるところに置いて、
なんとか説得しなくちゃ、、、と。

でも見えない、、、ことごとく見えないんです。
手元で見ている分には良いのですが、1メートルくらい離れると、
光の反射で、バックの黄色となじんでしまうため、
9割方の確率で見えないんです、、、



実は箔をやる段階で、このことはある程度は予想していたんです。
でも、どれか使えるだろうと考えていましたが、
それが全滅です、、、
完全に撃沈です、、、



ということで、泣く泣く軌道修正が必要になりました。
というよりも、軌道を元に戻すことになりました。

実は早い段階から、
現在のチャコールグレーのタイトル案というのは、すでにあったんです。
華やかに金箔や銀箔をするよりも、
シンプルにタイトルを見せたほうが良いという意見も以前からあったのですが、
まぁ、デザイナーですから、いろいろ欲ばりまして。。

ということで、グルッ〜と遠回りしてできたのが、
今のタイトル部分なんです。


関係者の皆さまには、本当にご迷惑をおかけしました。。
posted by Happy and Happy at 22:04| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月04日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-7

今日は少しカバーについてのお話を。
題して、「関係者の皆さん、ご迷惑をおかけしました、、、」(前編)です。

今回、タイトルの文字部分は、「型押し」という加工をしています。
金属の型を作って、それを紙に押し付けることで、
文字や絵柄をへこませる加工法です。


↓こんな感じです。文字がへっこんでいるのがわかりますか???

R0012212.jpg


↓念のため、さらにアップです。

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もともと「活字」というもの自体が、
金属に彫った文字を紙に押し付けることで、
文字を印刷していたこともあり、
そんな古き良き「活字」の雰囲気を感じさせたいと思い、
このような加工にしています。

本来は、真っ黒な文字のほうが、より活字っぽい雰囲気になるのですが、
今回は、バックのやわらかな黄色に合わせて、
チャコールグレーの文字にしています。

欧文書体の持つ、ヨーロッパの洒落た雰囲気を、
表紙カバーでも感じてもらえたら、うれしいです。




と、語りましたが、ここに落ち着きくまでには、
実はいろいろなことが、、、


↓ジャーン!なぜか銀の箔押しです。

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さらに、金の箔押しまで、、、

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いえいえ、これだけではないんです。
まだまだつづくんです、、、

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2010年03月01日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-6

今日は、「ノンブルも遊んでみました。」です。

すでに本を購入してくださった方は、お気づきかもしれませんが、
3章の「各書体を紹介しているページ」は、
ノンブル(ページ数を表す数字)も、その書体を使っています。

通常、本のデザインであれば、
すべてのノンブルをひとつの書体で通すのが、あたりまえなのですが、
今回の本は、いろいろな書体を紹介する内容を踏まえて、
こんなところにちょっとした遊びを入れてみました。


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たとえば ↑ 「Bodoni」のページは、このようにノンブルも「Bodoni」を。


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「Helvetica」のページは、ノンブルも「Helvetica」を使っています。


「ノンブルにこの書体を使うと、こんな感じになるのかぁ」と見ていただけたら、
うれしいです。。


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2010年02月28日

「きれいな欧文書体とデザイン」ちょっとだけメイキング-5

今日は、先日アップした画像についての説明です。

今回は、クラシカルな書体の本ということで、
編集者Yさんから打ち合わせの中で、
「線を手書きにしてみたら、どうですか?」とのアイデアが。。

パッと見ただけではわからないけれど、細部にアナログ感を出したら、
内容とリンクして面白いのでは? との話になりました。

「あぁ〜なるほどね〜」となり、
じゃあ、クラシカルな筆記具の「万年筆」でやってみましょう!
ということになりました。

通常はデザイナーの場合、
精密な線を書くためには「ロットリング」や「カラス口(カラスぐち)」という
製図を書くための特殊な筆記具を用いることが多いのですが、
それでは面白くないので、あえて「万年筆」を使ってみました。
そんな流れで、以前このブログにもアップした万年筆を購入したわけなんです。

実際、作業に入ってみると、さまざまな問題がありました。
まずは、「ロットリング」などのように、0.1ミリという極細の線が引けない、、、
そして、小回りがきかないため、円などの丸みのある線がかなり書きづらい、、、

どうしたものかと思いながら、いろいろ解決策を見つけて、
あの手書きの線が実現しています。

点線や、ロゴページのマス目なども全て手書きにしたのですが、
ここは印刷のアミ点で、ほとんどわからなくなってしまいました。。

僕はもともとコンピュータのフラットな線が好きなこともあり、
手書きにしてみたものの、やはりコンピュータの線にしようかと
かなり悩んだのですが、やって良かったなぁと感じる今日このごろです。

ほとんどわからないと思いますが、
少しやわらかさを感じる線になっています。

posted by Happy and Happy at 19:10| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月27日

「きれいな欧文書体とデザイン」ちょっとだけメイキング-4

今日もホントにちょっとだけ。。


03.jpg


↑こんな 「●」 まるポチも手書きしています。

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2010年02月26日

「きれいな欧文書体とデザイン」ちょっとだけメイキング-3

今日は、ホントにちょっとだけ。。


kireina_2.jpg


実は本書に出てくる「線」は、すべて手書きの線なんです。
よぉ〜〜〜く見ないとわからないのですが。。


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2010年02月24日

「きれいな欧文書体とデザイン」ちょっとだけメイキング-2

昨日、今日とシステムのメンテナンスで、
このブログ、つながりませんでした、、、失礼しました。

今日のメイキングは、
「アートワークは、書体の特色を形にしてみました。」です。

今回、各書体を紹介するページに、
ちょっと遊び心をこめたアートワークを掲載しています。

Futuraでいえば ↓ なのです。


1-09.jpg


これらのコンセプトは、少しわかりづらいと思いますが、
実は基本的に、それぞれの書体の特色などを考えて制作しています。

例えば、Futuraという書体はご存知の方も多いと思いますが、
バウハウスという芸術運動の影響を強く受けた書体です。
そこで、アートワークも、バウハウスをイメージさせるような
デザインにしています。

他にもCenturyという書体は、それまでの職人による手彫りの活字から、
機械を使い、均一の活字書体を大量生産できるようになった書体です。
そのため、あのようなアートワークにしています。

そんな風に書体の背景などを、
チラッと盛り込みながら制作しています。

本を見てくださる時に、いろいろとご想像しながら、
アートワークも眺めていただけたら、うれしいです。


posted by Happy and Happy at 21:37| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月22日

「きれいな欧文書体とデザイン」ちょっとだけメイキング-1

これから、このブログでちょっとだけ、
新刊本のメイキングや内容を紹介していきたいと思います。

ということで、今回は、
「書体の並びは『年代順』にしています』です。

3章で紹介している書体の並び(構成)は、
当初、ABC順で構成していたのですが、
なんかしっくりこない、、、
で、ある時、年代順に並べてみると、これがすごくイイんです!

書体が制作された順に、文字のデザインを追っていけるため、
時代によっての文字の形の変化が、
とてもわかりやすくなっています。

「Futuraから、30年経ってHelveticaが生まれたのかぁー」と、
味わっていただけたら、うれしいです。

posted by Happy and Happy at 17:35| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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