2010年04月17日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-15

さて、今回は「混植書体はどうしよう?」です。

日本語書体は決まったけれど、文字組の中に一緒に使う、
欧文や数字書体に悩み始めます。

というのは、この「本明朝Book」という書体は、
混植用につくられた専用の欧文書体がすでに揃っているからなんです。
それがこちら↓

00012234.jpg

どれも、本明朝とのバランスを考えてつくられているため、
混植で使用すると、非常に整った雰囲気が出ます。

しかし、どうも自分の求めている雰囲気にしっくりこない、、、という問題が。

通常の仕事で使う場合には、この書体の場合、専用の欧文を使ったほうが
文字の「黒み(太さ)」も揃って、確かに美しい文字組になります。
ただ、今回は欧文書体の本ということで、もともと別々の書体だったものが、
完璧なまでにきちんと揃いすぎているということが、
どうしてもしっくりきませんでした。

そのため、この本に限っては、欧文は「本明朝」に頼らず、
他の組み合わせにしようと決めました。

最終的に、最もスタンダードともいうべき「Adobe Garamond」を105%に拡大して、
組み合わせたのが、現在の本文組です。

00012235.jpg

(↑「Adobe Garamond(105%)」と「Ro Garamond-Book」。
「Ro Garamond-Book」のほうが、小文字の天地が高く、
はっきりとした印象になっています。)


書籍の組版を見ていただくと、日本語に比べて、
欧文の「黒み」が若干強くなっていますが、
これも意図した味わいだと感じて頂けたらうれしいです。

posted by Happy and Happy at 12:43| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月15日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-14

今回は「日本語書体はどうしよう?」です。

本をつくるにあたって、日本語の書体に何を使うかということも、
けっこう悩みました。

クラシカルな欧文書体をまとめている本なので、
やはりどことなくクラシカル感は欲しい。
だけど、あまり重い印象になってしまうのも避けたい。

ということで、3つの書体をセレクト。
●游明朝体 + 五号かな
●A1明朝
●本明朝Book新がな

まずは「游明朝体 + 五号かな」。
ご存知の方も多い、字游工房さんの書体です。
「游明朝体」に、築地系と呼ばれるやわらかな「五号かな」を
組み合わせる案。

そして、モリサワの「A1明朝」。
僕が広告会社に勤めはじめた頃は、写植からMacへ移行するちょうど中間点でした。
当時、写植で明朝体といえば、漢字を「石井中明朝体MM-OKL」、
かなに「A1明朝」を使い、さらにそれを「紙焼き」という機械を使って、
「エッジをやわらかく太らせて使う」というのが主流でした。
そんな思い出もあり、この書体をセレクト。

最後に、リョービの「本明朝Book新がな」。
ここ数年、気にいって使っています。
書体名に「Book」と付いている通り、
書籍本文のために開発された「本明朝」の現代版ともいうべき書体です。
かなが、4種類付属されているのが特徴で、
まずは通常の「かな」、少し小ぶりの「小がな」、
築地系のやわらかな「新がな」、それを小ぶりにした「新小がな」。
その中から、「新がな」をチョイス。


それぞれ、一長一短で、非常に悩みました。
「游明朝体 + 五号かな」は、すっきりとした現代的な印象で美しい。
「A1明朝」は、書体としての味がある。
「本明朝Book新がな」は、クラシカルな感じと現代的な雰囲気を併せ持つ。


いろいろ考えた結果、今回の本の内容を一番的確に表現してくれ、
なおかつデザイン的に、文章がスッーとラインのように見え、
文字も余白も共に映える書体は「本明朝Book新がな」だという結論に達し、
この書体をセレクトしました。

しかし、ここからまだ悩みは続きます、、、

0012233.jpg

posted by Happy and Happy at 09:39| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月13日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-13

4月の頭に再びMacが壊れ、HDを入れ替えましたー。
おかげで今は快調になり、これで一安心です。

さて、ひさびさですが、メイキングです。

この書類の山、なんだと思いますか?

R0012225.jpg

厚さ、45mmほどの山。

R0012226.jpg


実はこれ、すべてのページデザインができあがった際につくった、
簡易製本なんです。
それぞれのページを両面テープで止めて、176ページを製本してあります。

通常の本の仕事の場合は、単純にペラの出力紙で確認をしていくのですが、
今回の本は、ページをめくって読み進める際に、できるだけ見やすく、
そして、違和感(ひっかかり)を感じさせない本にしたいと考えていました。


ご存知の方も多いかもしれませんが、
書体には大きく分けて、「本文書体」と「見出し書体」があります。

「本文書体」は、その名の通り、書籍などの本文を組むためにつくられたもので、
読む人のことを考えて、見やすさや読みやすさを重視して、
様々な工夫がされています。
それに対し「見出し書体」は、タイトルなど、短いテキストに使うためのものなので、
読みやすさよりも、書体としての面白さや、ある種のクセがつけられています。


今回の本は、そんな書体たちを紹介していますので、
本全体を通して、まずは「本文書体」のコンセプトである
「見やすさや読みやすさ」を感じてもらえる本にしたいなとの思いがありました。
しかし、それだけでは少し単調になってしまいますので、
「見出し書体」のような、デザイン的なクセづけも入れてあります。

その二つをうまく調和させ、最後まで「スッー」と読めることを目指し、
簡易製本をして、実際にページをめくりながら、細かな調整をしていきました。

最終的に、このような作業を二度行い、
ようやく入稿へと進んでいくことになりました。

01234.jpg

posted by Happy and Happy at 14:11| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月27日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-12

先週末、突然Macが壊れて、
あんなデータや、こんなデータの数々と
強制的にお別れをすることになりました。

改めて、バックアップの大切さを痛感して、
1TBの外付けHDを取り付けた今週末です。

ということで、また久しぶりのブログ更新ですが、
今回は「書体見本」のページについて説明していきます。


↓こんなページのデザインになっています。

1-07.jpg


↓ちょっとアップにしてみます。

futura137ce.jpg



通常、書体見本といえば、黒1色で印字する場合が多いのですが、
今回の本は、文字のいくつかに赤い色をつけています。

これは、「赤い色のついた文字が、この書体の特徴的な文字」ということが
一目でわかるようにしています。

これまでの書体関連の本だと、各書体の特徴をまるで間違え探しのように、
何度も何度も見比べて、他の書体との違いを自分で見つけて、
記憶していくしかありませんでした。

でも、自分の好きな書体については記憶ができても、
そうでない書体については、専門家でない限りは、
なかなか難しいと思うんです。

ある時、仕事を一緒にしたカメラマンの方がこう言いました。
「書体って、明朝かゴシックかぐらいなら、わかるけれど、
それ意外はどれも同じにみえるんですよねー」。

僕は「あぁ、そうだよなー」と思いました。
書体に詳しくない人たちにとっては、
「Garamond」も「Caslon」も「Bodoni」でさえ、
同じに見えるんです。

こういう、何気ない会話がきっかけとなり、
この本を制作するときに、この「赤い文字」を思いつきました。

書体にあまり詳しくない方でも、目で見てすぐわかる。
そして、書体の魅力を手軽に知ってもらえる。

そんな本を目指した結果が、この赤い色に込められています。

posted by Happy and Happy at 21:35| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月14日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-11

あっという間に1週間たってしまいました。
しかも前回、中途半端な感じで終わっていたのに、
すみません。

ちょっと読みづらいかと思いますが、
そのまま続きです。



100.jpg


ページ左下には、各書体のファミリーの種類を記載しているのですが、
ひとつだけ、黒い文字にしてあります。
これは、「数あるファミリーの中で、この太さの文字を選んでいます。」
という印です。
この選んだ文字を、次のページの「書体見本」や「組見本」
「ロゴアレンジ」「アートワーク」へと使用しています。



実はファミリーの中で、どの太さをチョイスするかということも、
頭を悩ませました。
制作当初は、本としての見た目の変化を考え、細い書体や太い書体など、
それぞれの書体ごとに、選ぶ太さを変えようと考えていました。

しかし、それだと見た目の面白さは出ても、
「なぜ、この書体で、その太さを選択しているのか?」という根本的なところが、
満たせていませんでした。



そこで目をつけたのが、
それぞれの書体が開発された時に「基本となった太さ」でした。
通常、セリフ書体であれば「Roman」。
サンセリフ書体であれば「Regular」。
といったものにあたります。

しかし、中には「Futura」のように、
開発時に、細めの「Light」、標準的な「Medium」、太めの「Bold」の
3つのファミリーが同時に進行されたものもあります。

こういうふうに、数ファミリーが同時進行したケースもあり、
いろいろ悩みました。

そして、最終的には、
「その書体の開発時に、最も中心的な位置にあったもの」を選択することに決めました。

そのため、「Futura」では「Medium」をピックアップ。


他にも、「Gill Sans」なら「Regular」。

108.jpg


「Times New Roman」も「Regular」。 という選択になっています。

116.jpg



ここで本をお持ちの方なら、「あれっ?」と思われる書体がひとつあります。
それは「Helvetica」。

多くの書体は「Regular」を中心として、開発されていくわけですが、
「Helvetica」は違いました。
この書体は、まず「Bold」から開発され、
それを元に「Regular」の制作へと移ります。

という訳で、「Helvetica」は「Bold」を選択しています。

それと、「Helvetica」は「Bold」が有名で良く使われますが、
細身の「Ultra Light」は、同じ「Helvetica」でも、印象が大きく異なります。
このひとつの書体の中にある、ファミリー」というものの多彩さや、面白さを
お伝えできたらと思い、この書体は「Ultra Light Italic」も掲載させて頂きました。

「ファミリー」というものの面白さを感じて頂けたら、うれしいです。

posted by Happy and Happy at 01:10| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月07日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-10

今日は本の中身について、少し説明したいと思います。
今回の本では各書体の特色を、出来るだけ簡単に、
そしてわかりやすくシンプルにお見せしたいと考えました。

そのため、↓こんなレイアウトに辿り着きました。

1-06.jpg


少し拡大してみます。


futura001.jpg


書体名のところには、ベースラインとキャップライン、ミーンラインの
3本のラインを点線で引いています。
こうすることで、その書体が他の書体と比べて、
どの位の文字の大きさなのかや、小文字の高さを簡単に比較できるようにしてあります。
一見、何の変哲もない線ですが、実はそんな意図をこめたラインになっています。


次は右ページの拡大です。


futura002.jpg


各書体が、どこの国の書体なのかということも、
欧文書体に詳しくないと、意外とこんがらがってしまいやすいものです。
そのため、各国の国旗を用いて一目でわかるようにしてあります。

あとは書体名の読み方。
日本語の読み方には、いくつかの読み方が浸透しているため、
代表的な読み方を掲載してあります。

少し長くなりましたので、つづきはまた次回に。

posted by Happy and Happy at 18:13| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月06日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-9

いやぁー、“ちょっとだけ”のつもりで始めた、このブログのメイキングですが、
いつの間にか「しっかりメイキング」になってきてしまいました。。

ということで、今日は“ちょっとだけ”に。。


文字というものは、ついつい黒い文字の部分ばかりに目が行ってしまいがちですが、
実は「白い余白の部分」がとても重要なんです。

書道では「余白の芸術」といわれるほど、
白い部分が重要な意味を持っています。

そんな文字の芸術的な美しさや魅力を感じていただきたくて、
今回の本は、ゆったりとした余白を生かしたデザインにしています。

posted by Happy and Happy at 18:45| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月05日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-8

「関係者の皆さん、ご迷惑をおかけしました、、、」(後編)です。

銀や金の箔には、鏡のようにピカピカと反射するタイプと、
マットと言われる少しテカりを押さえたタイプのものがあるんです。

「せっかく校正を取るなら、いろいろ見てみたいな〜」なんて、
欲張りな気持ちを起こしまして、、、


ということで、
やりました! いやいや、やってもらっちゃいましたー。。
マットの銀箔!!

m1.jpg

m-1-2.jpg




いや〜、このくらいで終わっていれば、まだかわいいもんなんですが、
さらに僕はやっちまいます、、、




「マットの金箔も見てみたいな〜」なんて、欲張りな僕がいるわけで、
マットの金箔ですっ!!

m2.jpg

m-2-2.jpg




いやいや、ここまで来たら、もうやります。やりきりますよー。
マットの金箔『色違い』バージョン!!


m3.jpg

m-3-2.jpg


校正が上がった時には、もう感激です!
どれも素晴らしい仕上りで、大喜び!!
ひとつひとつ検証して、どれで行こうか編集者Yさんと検討です。

最終的に、光沢のある銀の箔と、金の箔が決勝戦に!
「う〜ん、どっちも良いなぁ、悩むなぁ」なんて考えていると、
Yさんが本屋で置かれている状況を想定して、
少し遠目に並べてくれました。

するとYさん「見えない、、、タイトルが見えませんね、、、」と。
えっ!?「ひ、光の加減じゃないですか? 反射するから」と僕。

Yさんの位置に立って見ると「確かに見えない、、、」。



でもね、ここで簡単にあきらめるわけにいかないわけですよ〜。

で、僕は、いろいろな場所に置いて確認していくわけです。
もうあがきましたよ。どっか見えるところに置いて、
なんとか説得しなくちゃ、、、と。

でも見えない、、、ことごとく見えないんです。
手元で見ている分には良いのですが、1メートルくらい離れると、
光の反射で、バックの黄色となじんでしまうため、
9割方の確率で見えないんです、、、



実は箔をやる段階で、このことはある程度は予想していたんです。
でも、どれか使えるだろうと考えていましたが、
それが全滅です、、、
完全に撃沈です、、、



ということで、泣く泣く軌道修正が必要になりました。
というよりも、軌道を元に戻すことになりました。

実は早い段階から、
現在のチャコールグレーのタイトル案というのは、すでにあったんです。
華やかに金箔や銀箔をするよりも、
シンプルにタイトルを見せたほうが良いという意見も以前からあったのですが、
まぁ、デザイナーですから、いろいろ欲ばりまして。。

ということで、グルッ〜と遠回りしてできたのが、
今のタイトル部分なんです。


関係者の皆さまには、本当にご迷惑をおかけしました。。
posted by Happy and Happy at 22:04| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月04日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-7

今日は少しカバーについてのお話を。
題して、「関係者の皆さん、ご迷惑をおかけしました、、、」(前編)です。

今回、タイトルの文字部分は、「型押し」という加工をしています。
金属の型を作って、それを紙に押し付けることで、
文字や絵柄をへこませる加工法です。


↓こんな感じです。文字がへっこんでいるのがわかりますか???

R0012212.jpg


↓念のため、さらにアップです。

R0012213.jpg


もともと「活字」というもの自体が、
金属に彫った文字を紙に押し付けることで、
文字を印刷していたこともあり、
そんな古き良き「活字」の雰囲気を感じさせたいと思い、
このような加工にしています。

本来は、真っ黒な文字のほうが、より活字っぽい雰囲気になるのですが、
今回は、バックのやわらかな黄色に合わせて、
チャコールグレーの文字にしています。

欧文書体の持つ、ヨーロッパの洒落た雰囲気を、
表紙カバーでも感じてもらえたら、うれしいです。




と、語りましたが、ここに落ち着きくまでには、
実はいろいろなことが、、、


↓ジャーン!なぜか銀の箔押しです。

R0012216.jpg

02silver.jpg


さらに、金の箔押しまで、、、

R0012218.jpg

R0012218-2.jpg


いえいえ、これだけではないんです。
まだまだつづくんです、、、

posted by Happy and Happy at 16:58| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月01日

「きれいな欧文書体とデザイン」 ちょっとだけメイキング-6

今日は、「ノンブルも遊んでみました。」です。

すでに本を購入してくださった方は、お気づきかもしれませんが、
3章の「各書体を紹介しているページ」は、
ノンブル(ページ数を表す数字)も、その書体を使っています。

通常、本のデザインであれば、
すべてのノンブルをひとつの書体で通すのが、あたりまえなのですが、
今回の本は、いろいろな書体を紹介する内容を踏まえて、
こんなところにちょっとした遊びを入れてみました。


bodoni_1.jpg

たとえば ↑ 「Bodoni」のページは、このようにノンブルも「Bodoni」を。


helvetica.jpg

「Helvetica」のページは、ノンブルも「Helvetica」を使っています。


「ノンブルにこの書体を使うと、こんな感じになるのかぁ」と見ていただけたら、
うれしいです。。


posted by Happy and Happy at 20:55| メイキング「きれいな欧文書体とデザイン」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。